樹木花粉の種類について

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主な樹木花粉の多くは風媒受粉で、大部分の木が早春から初夏にかけて開花するために早咲きから中間咲きの樹木に分類される。樹木花粉の交差反応は多く、数種類の樹木の花粉に反応する場合も多い。

スギ

日本で最大の花粉症原因の樹木で、国民病ともいわれるスギ花粉症を引き起こす。
1945年から1950年代に造林政策で大量植林した経緯が現在のスギ花粉症増加の遠因とされている。
日本特産の裸子植物で、スギは常緑針葉樹でほぼ50mの直立樹木である。
褐色樹皮は繊維質で強靭であり、葉は針状で小枝に集まる。雌雄同株、黄褐色雄花は米粒大で枝端に群生する。雌花は黄褐色球果で鱗片間に種子を産生する。
【飛散時期】
雄花芽の分化期は6月から9月で11月上旬頃には花粉が成熟する。雌花芽は遅れて分化形成される。開花期は気候や地域などで差異はあるが、2月上旬から花粉飛散がはじまり6月頃に最盛期となる。

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スギ花粉症は典型的なⅠ型アレルギー(即時型)性疾患でスギ花粉症アレルゲン特有のlgE産生にはじまる。
病態は、①感作の成立、②Ⅰ型アレルギー反応の症状(アレルギー性鼻炎、アレルギー性皮膚炎、気管支喘息など)、③アレルゲン暴露による持続性炎症の各段階を経過する。

ヒノキ

ヒノキは日本に自生しており、スギと同様の主要造林樹種で、スギ花粉と同じく大量の花粉が飛散する。常緑樹で樹皮は赤褐色、小鱗片状の葉が枝に密生し雌雄同株である。春季に小花が枝上に開花して球果ができる。
【飛散時期】
開花期は3月から5月で最盛期は4月である。

スギ花粉症患者はヒノキ花粉アレルゲンにも陽性反応を示すことが多い。北米ではヒノキ科クロベ属ヒマラヤスギ、南欧ではヒノキ科イトスギ属が一般的なアレルゲンで多くのアレルギーを発症する。

シラカンバ

シラカンバは北海道・東北・軽井沢などの高地に多く、また北欧・北米などの亜寒帯に分布する。
シラカンバは落葉林や混交林、荒地で成長し、市街地の街路樹や緑化植栽に用いられる。
【飛散時期】
4月に開花し、雄花の配列は尾状に垂下する尾状花序を持つ。開花期は4月から5月で、5月が花粉飛散の最盛期である。

シラカンバは、ハンノキ、ヤシャブシ、ブナ、オーク、ハシバミなどのカバノキ科との交差アレルギー(当該アレルギー以外のものにも反応してアレルギーを起こす)が多い。これらを総称してカバノキ科花粉症という。このほかにも、リンゴ、ナシ、モモ、サクランボ、キウイなどの果実、ヘーゼルナッツ、クルミなどの食物との交差反応がある。

その他の樹木花粉

風媒受粉により花粉症を引き起こす樹木にはハシバミ、オーク、トネリコ、ポプラ、ニレなどがある。一方で風媒受粉だが花粉症になりにくい樹木にシナノキ、ヤナギ、クリなどがある。

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